あなたは、人に頼る、相談することは得意ですか?
私は、自分の中に溜め込むことが苦手で、よく人に話を聞いてもらったり、相談をしたりしていました。
しかし、子どもを産んでから変わりました。特に、発達特性(自閉症スペクトラム、ADHD)がある次男を産んでからは一変しました。
周りの定型児(発達特性等がないお子さん)と比べると、できないことばかりで凹む毎日。そんな中、定型児の親御さんと話す機会があっても、相手とこっちで悩み事も困り事も内容が全然違うので、「うちもそうだよ~」「考えすぎじゃないの~?」「大丈夫だよ~」のさりげない、何気ない一言に傷つくこともありました。
大丈夫じゃないから、嫌な予感がするからモヤモヤしてるんですよね。そして、どう対処していけばいいか分からない…。
そうして、「誰にも話せない」と感じたときもありました。
これって、めちゃめちゃしんどい状況なんですよね。
今は自分の中に溜めこみ、誰にも話せない…ということはなくなりました。
どのように変わっていったのでしょうか。私がこれまで意識してきたことをご紹介します。
意識したこと
専門職に相談する
長男を出産したときから意識していることは、基本的に信頼できる専門職の方に相談するということです。
些細なことに関しては、当時のママ友に「これってどうしてる?」「聞いてよ、うちの旦那がさ~」と尋ねたり話を聞いてもらったりしていました。
しかし、「精神的に辛い」「育児書通りいかない、なんで?」「このやり方であってる?」というときは
- 地域の保健師
- 小児科の医師
- 保育機関の先生
- 療育機関の先生
- 市の相談機関
などの関係機関に相談するようにしていました。
相談先を使い分ける
一人で悩まない、ネットで検索しすぎない、悩み事や困り事を整理してそれに合った場所へ相談することは大事なことです。
悩み事や困り事の中には、自分で言語化できていない不安や焦りなどが入り混じっています。話すことで整理されることもありますので、一人で抱え込まないことが大切です。
例えば、先ほどの相談先で考えてみますと、
- 地域の保健師…乳児期、幼児期。成長や発達に関わること全般。
- 小児科の医師…体調不良、成長や発達に関わること。
- 保育機関の先生…保育園、幼稚園生活に関わること全般。家庭の困り事を共有しておくと良い。
- 療育機関の先生…成長、発達に関わること全般。家庭や保育機関の困り事、苦手に対するアプローチ方法を共有しておく。
- 市の相談機関(発達相談支援センター)…成長、発達に関わること全般。担当の相談員が多忙なことが多い。私の場合は、療育機関や保育機関と相談してうまくいかなかったことなどを改めて相談している(療育機関と繋がっていない場合は、こちらに直接相談してください)。聞きたいことは箇条書きにしておくとスムーズ。
というように、困りごとに応じて相談先を使い分けていきます。
相談後に気をつけること
療育機関もしくは市の相談機関などに相談したあと、困り事へのアプローチ方法が一旦固まります。そのときは、各機関に連絡し、アプローチ方法を共有します。
本人への関わり方が各機関によって異なると、本人も混乱してしまい効果が薄くなってしまうので、必ず連絡・報告して情報を共有するようにしましょう。
なぜ使い分けるのか
それぞれの専門の方々は多くの対処方法、支援方法、アプローチの仕方をご存じです。お子さんの様子を見聞きし、様々な方法を教えてくれます。
使い分けることで、相談先を多く持つことができます。
相談先を多く持つ、信頼できる人が一人でも多くいることは、何か困ったときにすぐ頼ることができます。
知識がなく悪気のないママ友の言葉に傷ついたり、ネットやSNSの情報に振り回されることもなくなります。
実際に子どもの様子を見て、判断しアドバイスをもらえること、そして親の気持ちに共感し寄り添ってもらえることが、リアルではとても大切なことです。
使い分けることで、「自分の心を守る」ことに繋がります。
先輩パパママとの繋がりを持つ
その他の相談先として、とても大切な繋がりは先輩パパママさん達です。
発達障害児を育ててこられた経験があるからこそ、障害児子育てに対する苦労や、日頃感じるネガティブな気持ちを共感してくれます。この共感が、「一人じゃない」と勇気づけられます。
そして、どのような試行錯誤をしてきたのか、今後どう成長していくのか、学校生活、放課後等デイサービスの情報などを共有することができます。
そうすることで親の見通しが立つことも多く、先の見えない不安を軽減することができます。
自立とは
今まで生きてきて、「自立した大人になりなさい」と言われて育った方が多いのではないでしょうか。
自立とは、自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに自分の力で物事をやって行くこと
Oxford Languages
以前、「生活的自立」「経済的自立」「精神的自立」ができて「社会的自立」だと学んだ記憶があります。
そして、自分で立たなきゃ、自立した人間にならなければ、しっかり子育てしなきゃ…とプレッシャーに思った方も多いのではないのでしょうか。
一人で子育てはできない
発達特性が濃い子どもを育てる中で、一番強く思ったことは、「一人で子育てできない」ということ。
話すことが苦手、表現できずに暴れる、不適切な行動が出てくる、目が離せないなど物理的に一人では難しいことも多いですし、日常生活の困り事へどう対処していけばいいのかも一人では分かりません。
さらに、発達凹凸児子育ては分からないことも不安に思うこともたくさん、成長と共にいたちごっこのように現れてきます。
様々な機関に相談し、情報を共有し、チームでやっていくからこそ親は共に立って、歩んでいくことができます。
「しかるべき場所に相談する・頼ることができる」ことが、親の自立した子育てに繋がっていると思います。
子どもも一人では生きていけない
発達障害の様々な特性により、子どもも一人で生きていくことは難しいと思います。
他の身体障害などに比べると目に見えない”障害”ですので、周りの理解が得られず本人も家族も思い悩むことが多いです。
本人と、その周りにいる家族や関係機関の人々が、発達特性を正しく理解することがとても大切です。
そして、様々な支援や環境調整、相談機関など関わる場所をたくさん作ることで、自立した生活を目指すことができます。
生活支援や、働く先の理解と環境調整、移動支援や服薬管理、カウンセリングなど様々な機関と連携する・相談する・頼ることで、「自分らしく生きていく」「自己決定する」自立した生活に繋がります。
自立とは依存先を増やすこと
多くの人にとって、一人で生きていくことは至難の業です。
一人一人が得意不得意、苦手、機能面での不自由さなど様々な凹凸があります。
得意な人が苦手な人を助ける、不便は改善する、発達特性(または性格や個性)を理解してもらう、人・モノ・制度などに頼ることは無意識に皆が行っていることですよね。
そうすることで、私たちは皆が自立を求めて(目指して)生活しているのだと思います。
それこそが自立ですから。
たくさんの相談先、支援先、依存先を確保し、自らが選択し自分らしく生きていけるよう、子どもも親である私たちも「自立」して生きていきたいですね。
成長と共に依存先も変化する
1‐1でご紹介した相談先から、成長と共に依存先も変化していきます。
- 児童発達支援事業所…発達特性により支援が必要な児童(小学校就学前の6歳まで)が通う施設。療育手帳などの有無にかかわらず、児童相談所、保健センター、医師、発達障害者支援センターなどから療育が必要と認められた児童が通所できる。専門の相談員、保育士、言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)などがいる施設もある。
- 放課後等デイサービスなどの療育機関…発達特性があり配慮が必要な児童(小学~高校)が放課後もしくは長期休暇中に利用できる施設。運動療法や音楽療法、プログラミングなどの療育を受けられる施設もあれば、穏やかに生活することを大切にしている施設もあるので、子どもの様子に応じて選ぶことになる。施設により、言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、特別支援学校教諭などの専門領域の職員がいる。
- 小児科、精神科などの主治医…特性に伴う服薬相談、発達相談、発達検査など。
- 発達障害者支援センター…発達障害児(者)への総合的な支援を行う専門的機関。
- 障害者福祉センター…障害者相談支援事業所、障害者生活センターなど自治体によって名称が異なる。障害全般の総合相談窓口。
- 障害者就労・生活支援センター…就業面と生活面の一体的な相談・支援を行うための機関。
- 障害者就労移行支援事業所…学校のように通いながら就職サポートを受けられる機関。個別支援計画を元に、就職に必要な知識やスキルを学び、就職準備をする。
- 就労継続支援A型事業所…就労移行支援事業を利用していたが雇用に結びつかなかった人や、特別支援学校を卒業して企業などの雇用に結びつかなかった人が、一定の支援がある職場で雇用契約を結んで働くことができる福祉サービス。給料や最低賃金以上。
- 就労継続支援B型事業所…障害があり一般企業への就職が不安あるいは困難な場合に、雇用契約を結ばず軽作業の就労訓練を行うことができる福祉サービス。給料は賃金ではなく「工賃」として支払われる。令和2年度の平均工賃は15,776円、時間額は222円で前年を下回った(令和元年は平均工賃16,369円、時間額223円)
成長に応じて、依存先を変えたり追加したりしながら、本人が安心して自立していけるよう、サポートしてもらえる機関を探していきたいと思っています。
少しでも参考になれば幸いです。
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